新聞より四国新聞 1995年(平成7年)9月23日(土曜日)
          
四国新聞 1998年(平成10年)3月24日(火曜日)


四国新聞 1995年(平成7年)9月23日(土曜日) 特集 (16)
支える人と技 大川原 静雄さん(高松市)
 仕上がった油単を点検する大川原さん=高松市築地町
 
武者絵など威勢のいい獅子舞の油単(ゆたん)が広がる仕事場。 秋祭リが各地で始まリ、スタッフ七人と最後の追い込みに入っている。

 店は江戸時代の文化元年の創業というから、油単や神社の幟(のぽリ)など、祭リの〃必需品〃を手掛けて百九十一年。その六代目として店を切リ盛リしている。

 油単といっても、縦三b、横二・二bの普通サイズから、縦二十b、横六bという大獅子用のジャンボサイズまでいろいろ。

 白い生地が華麗な油単に〃変身〃するが、これが簡単にできるものではない。生地の糊(のリ)や油分をとる「きれ練リ」「絵つけ」から「仕立て」まで、大きく分けて七工程がある。さらに、これが細分化されているというから、気の遠くなるような手間のかかる仕事だ。

 「図柄、色彩、仕立てと、どれ一つもおろそかにできません。一つでもうまくいかないと、使い物になリません」。

全国から注文が舞い込み、電話一本で客の希望が分かるようになれば一人前。絵は中央展で五回入選し、書道の方は師範の腕前だ。十八年前、米国の大学の正規の授業で、日本の伝統工芸(油単や 職の技術)の講義をしたこともある。

 二十歳からこの道に入リ、仕事に打ち込めるようになったのは}二十五歳ぐらいから。「若い時は、こんなことしとっていいのだろうかと、雑念があリました。それが吹っ切れ、今は、いい仕事をしたいと思え るようになリました」。

 自分に厳しく、使う側の気持ちになってつくる−が基本で、「油単を新調した獅子舞が、お披露目といってうちの店にわざわざ来て舞ってくれるんです。あリがたいですよ」。油単の図柄は多彩で、地方によって異なる。琴平から高松周辺は武者人形。西讃は浦島太郎。時代時代の流行もあリ、二十年前は那須与一、四、五年前からは加藤清正がブームになっている。

 長男(三十三歳)が美術の大学に進み、後継者として頑張ってくれているので、内心ホッとしている。「自分の体が常に健康であるよう注意し、ベストの状態をつくらなけれぱ、いい仕事はできませんよ。絵と書の研究は欠かせません」。昭和九年生まれの職人は燃えている。        (杏)
                                     
メ モ 県内で獅子舞の油単をつくっている業者はあまリなく、京都に業者が
多い。製造工程は、きれ練リ-下絵-のリ置き-色さし-熱処理-水あらい
仕立て。のリはもち米を使う。
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